分割協議がまとまらない
遺産分割協議がまとまらないケースもあります。
意見が違ったり揉めそうな人を別にして、遺産分割協議を成立させることはできません。
一人でも相続の内容に反対する人がいれば、成立する事ができないのです。
多数決で決められないのが難しいところです。
弱い立場の相続人からみれば、守られている制度とも言えるでしょう。
遺産分割協議がまとまらなければ、不動産の名義を変えたり、預金の名義を変えて全部のお金を出したり、相続税の申告で各種の特例も使うこともできません。
全員にとって不利益となるのですが、相続人全員の納得が無ければ、遺産分割協議がまとまらないことになります。
そのようなときは、家庭裁判所の調停か審判によって分割してもらうことになります。
調停
調停は相続人全員を相手に、相手方の居住地の家庭裁判所に申し立てをすることから始まります。
裁判官1人と、2人以上の調停委員が共同相続人同士の話し合いがうまくいくように指導したり、客観的で妥当な結論に導くよう努力します。
できるだけ話し合いで解決しよう、という方法です。
この結果、話し合いがまとまり、相続財産の分割ができるようになれば、その結論を調停書に記載し、調停が成立します。
調停調書の効力は確定判決と同様に考えられています。
審判
調停でも話し合いがつかない場合、調停不調として調停自体は終わり、自動的に審判手続きに移行します。
審判は調停とは異なり「裁判」です。
裁判官は職権によって証拠調べ、相続人や相続財産の確定、相続分に応じた分割方法の決定ができます。
しかし「審判」の場合は相続人全体が不利になるケースもあったりします。
例えば、本来なら高い価格がついたはずの不動産が競売にかけられて安く落札されてしまうケースなどです。
不動産は分割しにくいので、お金に換えて分割する(代償分割や換価分割)という判断をされた場合、まず任意で売る方法を試してみて、売れなければ競売にかけるという方法です。
競売の場合は通常の7割近くまで値が下がると言われています。
また、基本は法定相続分で決められてしまうので、特別な事情を考慮に入れてもらうような判断はされにくいでしょう。
審判は「家庭裁判事件」として行なわれるので非公開です。
もし、審判で出された結論に不服があれば、審判書を受け取った日から2週間以内に、高等裁判所に抗告(即時抗告)することができます。
即時抗告
即時抗告は高等裁判所の管轄になります。
家庭裁判所の裁判官(審判官)とは異なる人が判断するので、前の審判で認められなかった主張でも、即時抗告審で認められる可能性はあります。
即時抗告をするならば、一審でなぜ主張が認められなかったのかをしっかり検討して、新たな証拠や主張などを行うことが必要になります。
以上、遺産分割協議がまとまらないときを見ていきましたが、以前からもめないようにしておく対応が必要でしょう。
終活でいえば遺言書の作成は大きな意味を持ちます。
万が一のことも考えて、事前に親族で話しを軽くでもいいのでしておく、子のようなことが大切なのではないでしょうか。
<葬儀あとのガイドブック抜粋…P54>
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