遺産分割協議の内容自体は、相続人の同意があるかぎり、どんな内容でも問題はありません。
たとえば、「長男山田太郎の相続分をゼロとする」などと書かれていても、本人が同意していれば問題ありません。
遺産分割協議書には決まった書き方は無いのですが、内容については欠陥があれば、せっかく作った協議書を改めて作り直さなければならないことがありますので注意が必要です。
遺産分割協議書が無効になるとき
無効とは、法律上の有効要件を満たしていないため、はじめから何らの効力も有していないということです。
遺産分割協議書を取消しさせる
取消しとは、そのままでは有効となる協議書を、途中で取消しを申し出ることにより無効にさせることをいいます。
無効との違いは、取消しがなされるまでは有効な協議書として取り扱われる面にあります。
もっとも最終的には、取消しの場合でも無効と同じように、はじめから何らの効力も有していないという事になりますので、結果的には同じになります。
遺産分割協議が無効・取消しされるケース
財産の範囲が不明確なとき
協議書を書くときは、対象財産が明確化されていることが大切です。
不明確になりがちな原因として次のような点が考えられます。
預貯金が特定されていないとき、不動産の表記が不明確で特定できないとき、協議書を作成したあとに財産が出てきたり、誰かが財産を隠していた場合などです。
相続人を除外したとき
相続人をうっかり相続人を除外してしまったり、行方不明の者を除外した場合は、その分割協議自体が無効です。
その時は分割協議自体、改めて協議し直さなければなりません。
行方不明者については、家庭裁判所に「財産管理人」の選任の申し立てをして代理人を立ててもらわなければなりません。
また、精神上の障害になどにより判断能力のない相続人が加わって行われた場合、成年後見人を選任せずに行われた遺産分割協議も無効です。
もし、このような手続きをせず不当に除外されてしまった相続人は、他の相続人に対して分割協議のやり直しを請求することができます。
これが拒否されたり、協議がうまく成立しないときは、家庭裁判所に調停や審判の申し立てを行い、救済してもらいます。
相続内容で誤解があった場合
遺産分割の重要な事実について誤解があった場合には、錯誤による無効が認められる場合があります。
印鑑が適切に押されてないとき
意外に多い書き直し、無効の例として、印鑑が適切に押されていない場合があります。
一枚の用紙に書かれる場合はまだしも、相続財産が多い場合は、二枚、三枚と協議書が数ページにも及ぶことがあります。
何枚にも及ぶような協議書の場合は、袋とじにして、とじめに全員の押印をするようにすれば、このようなことは防げるでしょう。
遺産分割協議の解除
相続人全員による同意があれば、協議を解除することができます。
解除された場合には,遡及的に協議が無効となります。
このように遺産分割協議を無効とする方法はありますが、そうするためには理由も必要です。
遺産分割の無効を検討するのでしたら、事前に相続に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。
<葬儀あとのガイドブック抜粋…P54>
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