初盆については前に書いておりますが、ここでは具体的な飾りについて書いていこうと思います。
お盆飾り(精霊棚)について
お盆飾りはお盆の時期になると帰ってくるご先祖様をおもてなしするためのものです。
盆飾りの飾り方は地域の風習によりさまざまで、地域や宗派によって違いがあるものの、それぞれに意味が込められています。
盆堤灯や霊前灯
先祖様が帰ってくる際の目印です。
盆提灯は迎え火・送り火の大切な役割となるもので、故人の冥福を祈り、感謝の気持ち込めたお盆の供養を表すものです。
新盆を迎えた家へ、親戚や故人と親しかった方が盆提灯を贈るという習わしは古くからあり、盆提灯はお盆のお供えとして最高のものとされています。
盆提灯は宗派による違いはありません。
新盆では白提灯で迎え、お盆が終わったら燃やして処分します。
ホオズキ
ホオズキはふっくらした形と炎の様なオレンジ色から、お盆に帰ってくる、ご先祖様や精霊が迷わずに帰って来れるように赤い灯火に見立てられ飾られます。
きゅうりの馬とナスの牛
一般的に先祖の霊はきゅうりの馬に乗って帰ってきて、なすの牛に乗って戻ると言われており(迎えは早く、送りは遅く)、馬と牛は迎え火を焚くときは頭を家の中へ、送り火の時は家の外に向けます。地域によって意味合いが違うところもあるようです。(馬は先祖の霊で、牛はお供え物などの荷を乗せるなど)
生花
生花はお清めの意味があります。
蓮の葉
仏教では蓮の花が極楽浄土を象徴し、最も位が高いとされています。
この蓮の葉に水の子をのせて盆棚にお供えします。(地域により、お米も加えます)
そうめんやうどん
先祖様があの世へ帰る際、持っている荷物を背負うための紐の意味があります。
細く長く幸せが続くという縁起をかつぐ理由もあるとされています。
水の子
なすやきゅうりをサイの目にきざみ、洗った米を混ぜて、清水を満たした器に入れます。
先祖の喉を常に潤せるようにする意味があります。
閼伽水
水の子に使用する水です。
器や蓮の葉の中に綺麗な水を入れ、その中にミソハギの花を重ねておきます。浄土から戻ってくるときについた、悪霊を追い払う意味があります。
夏が旬となっている果物や野菜
百味五果の意味があります。
昆布
縁起が良いとされます。
みそはぎの花
精霊花。少ない食べ物を無限に増やす為、餓鬼が食べやすくする為などと言われています。
麻がら(おがら)や松明や箸木(はしのき)
お盆の迎え火、送り火に使ったり、箸として使用したり、地域によって様々な用途があります。
火を炊く場合は適度な長さに切り、ほうろくという素焼きの皿に乗せ使用します。
迎え火は、ご先祖様の精霊が灯りを頼りに帰ってくるために、送り火は、帰り道を照らして霊を送り出すためと言われています。
ほうろく
この上で麻がらや松明を焚いて燃やすのに使います。
仏前椀
小型の御膳で、命日などの特別な日にご仏前やご先祖様にお供えする際に使われます。
精進料理を作り、供えます。
真菰縄(まこもなわ)
お仏壇のあおり戸などに掛けます。よじってある縄の間にほおずきや、旬の果物などを挟んで吊り下げます。
その他、真菰を盆棚の上に置き、野菜や果物を汚損映えする場合もあります。
先祖の好物
食べられる状態でお供えします。
宗派や地域の風習で、使う使わないや飾り方の違いがあると思いますが、年配者や菩提寺に教えてもらいながら、気持ちを込めてご先祖をお迎えしましょう。
※浄土真宗では仏壇に特別なお飾りや迎え火、送り火をする習慣はありません。お盆を「歓喜会」と呼び、他の宗派とは違いご先祖様に感謝する日としています。ただこれも地域によって差があります。
※神道では精霊棚の準備や迎え火・送り火、胡瓜の馬・茄子の牛などは仏式と形式が同じですが、お墓参りの時は線香をあげないで榊を供え、お墓に「二拝二拍手一拝」をしてお祈りをし、祖霊舎から霊璽を出して供物を供えるという違いがあります。
このように宗教・宗派・地域により違いはありますが、大切なのは心の部分でしょう。
少し飾り方が違ったとしても、ご先祖様を敬う気持ちが一番大切なことだと考えてください。
<葬儀あとのガイドブック抜粋…P26>
この記事へのコメントはありません。